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矢野峰人「ルバイヤート」三種訳し分け芸（第1歌、『ルバイヤート集成』国書刊行会刊より）

ver.1）
めざめよ、朝が夜の杯（つき）に
石擲てば星は散り、
見よ、東（ひんがし）の狩人の
羂（わな）はとらへぬ宮居をば。

ver.2）
めざめよ、「夜」の大野より星散らせたる
朝彦は、天つ空より夜を逐ひて
かのサルタンの宮居なる高き塔をば
光の征矢に射止めたり。

ver.3）
めざめよ、夜の大野より
星逐ひやりし朝彦は
天の原より夜を駆りて
光のもて宮殿（みや）を射ぬ。